アルザスのビオワインの作り手、ドメーヌ・マルク・テンペによる 『アムゼル』リースリング、2020。
外観はグリーンがかったイエロー。13%。
香りには、ペトロル、白黄色の花(しかし主張が強いわけではない)、リンゴの「蜜」、洋梨、茎感はあまりない、鼻に抜けるような微かなミント、石灰よりはもう少し湿り気のある鉱物。ミネラルが豊か。後味の透明感。
ペトロール香の正体は、トリメチルジヒドロナフタレン(TDN)という物質で、ブドウの果皮に生成されたカロテノイドの分解により生じると言われています。
カロテノイドは、ブドウが直射日光や高温から自らを守るために果皮に蓄積することから、日照が強いエリアや年は、よりTDNが生成されやすいと考えることができます。
リースリングは他の品種と比較してカロテノイドの濃度が高く、ゲヴュルツトラミネール等に比べると香りが控えめなため、TDNが目立ちやすいと考えられます。
TDNはコルクに吸着されやすい傾向があることから、スクリューキャップを主に使用するオーストラリアのワインの方がペトロール香を感じやすい傾向があり、コルクの使用が比較的多いアルザスのワインは穏やかになる傾向にあります。
(https://www.enoteca.co.jp/article/archives/403/?td_seg=tds773385tds990075 より)
晩熟のリースリングで、後味もクリアなので、生理的熟成が十分にされて緑の苦味も消えた、アルザス(ヨーロッパ)らしさを感じる。
若干オイリーな部分があるので、ジューシーな甘さを感じるが、実際の味わいは辛口という印象。爽やかな酸。バランスがとてもよい。