最後の夜はボルドーの白を…

少し前のことながらフランス、そしてヨーロッパの状況に鑑み、さすがに非常事態と判断した結果、急遽フライトを予約して一時帰国することに。3月17日の正午以降に外出禁止令発動(ただし必要書類を持っていれば外出することもできる)ということで、危ないところでした。

フランスに荷物を残した状態での一時帰国とはいえ、じつは同時に引越し作業を済ませておかなければいけない状況で(というのも、もとから近々引越し予定だったけど、次いつ帰ってこれるか分からないので出発前に終わらせておく必要があった)、仕方なく一晩で荷物の移動だけ完了させた。

次の日のフライトを前夜に取るという、人生であまりない経験もさることながら、同時に引越しのために身体を動かし続けるという緊張感のある夜を過ごしたことで、いろいろと落ち着かない、そして忘れられない夜に(日本に戻ると、街に思いのほか緊張感がなくて拍子抜けしたけれど……)。そんな忘れられない夜に飲んだ一本がこれ。途中からグラスも片付けないといけなくなったので、最後は瓶ごと飲んでた(ごめんなさい)。

Château La Grâce Fonrazade 2017 ボルドーの白。ソーヴィニヨン・グリ100% 数年前のサロンで友人に教えてもらい、ファンになった。

とくに面白いのは、ボトルのフォルム……ボルドーなのになで肩?というところ。白だから、というわけではなく、赤も同じ形。ドルドーニュ川右岸に位置するこのシャトーでは、昔ながらのボトルに瓶詰めしているとのこと。怒り肩でボルドーにありがちな澱を落として……というのは、マーケティングの結果で、じつはなで肩でも澱は落とすことができる。

白い花、アカシア、蜜と同時に、マンゴーなど濃厚な果実の風味。バランスがよく、オイリーな印象。余韻は中程度。上に書いたような事情なので、あまり味わってという状況でもなく、ばたばたしていたけれど、次はあらためてゆっくり飲みたいと思います。